空家等対策特別措置法により全国の市町村で可能になった、「行政代執行」。一体どのような制度なのでしょうか。

行政代執行とは、所有者に代わり、行政が適正管理に向けた取り組みを行うことです。道路に越境している木の枝を切ったり、放置されているゴミを撤去したり、倒壊しそうな家屋を解体したりすることができます。何度も改善を要求しているにも関わらず所有者が対応してくれない場合、行政が強制的に敷地に立ち入り、必要な対策を取るというものです。

ただし、これらの適正管理は本来、空き家所有者の責任です。行政代執行が行われるのは、緊急性が高いと判断された時のみで、行政代執行の費用は所有者に請求されることになります。

しかし、「放置しておけば行政が勝手に対処してくれる」と考えるのは間違っています。行政代執行は空き家所有者にとって全くメリットがないものだからです。

行政代執行の解体費用

まず、行政代執行で請求される費用は通常よりも高い可能性があります。例えば解体をする場合。自分で解体の依頼先を探す場合、少しでも安い施工会社を探そうとインターネットで情報収集したり、相見積りを取ったりすることが一般的です。

しかし、行政代執行を行う解体業者を選ぶのは行政職員です。彼らは最も安い会社を探して依頼するわけではありません。そのため、解体費用が比較的高額になってしまう傾向にあり、樹木の伐採やゴミ処分、建物の修繕についても同様です。

行政代執行の費用は税金です。
さらに、行政代執行の費用は税金債務として扱われます。これは、行政代執行に要した費用の支払いがされない場合、税金と同様の回収が行われるということです。

税金を滞納した場合、どうなるかご存知ですか?役所は税金債務の回収を目的として、その人が所有する不動産を差押えて公売(行政による競売)にかけることができます。
もちろん、所有者の同意は必要ありません。つまり、行政代執行が行われてしまった場合、その費用を支払わなければ所有している財産を勝手に売却されてしまうのです。この差押えされる財産は、行政代執行がされた空き家に限りません。今住んでいる自宅や乗っている車も差押さえることができます。

行政代執行が行われた事例

所在地行政代執行の対象物費用
神奈川県横須賀市木造戸建の解体約150万円
奈良県桜井市木造戸建の解体
※建築基準法に基づいた解体
約250万円
大分県別府市木造アパートの解体約510万円
東京都葛飾区木造戸建の解体約180万円
兵庫県明石市木造戸建の解体約100万円
長野県高森町木造戸建の一部解体
(屋根とその下部分の外壁)
約30万円
東京都品川区ゴミの撤去約200万円
山口県宇部市木造戸建の解体
※略式代執行
約265万円
北海道室蘭市木造戸建の解体約800万円

※2016年8月時点

行政代執行を回避するために

行政代執行が、空き家所有者にとって最も避けるべき事態だということはお分かりいただけましたでしょうか。比較的高い金額で工事がされた挙句、その支払いを拒めば自宅などが差押えされてしまうのです。行政代執行がされないためにも、普段から所有している空き家を適正管理していくことが重要なのです。

\ご相談・査定は無料!/
まずはご相談ください!